子供は反射神経がいいので、転びそうになると手をついて防ぎます。
たいていの場合は、手をつく事で「事無きを得る」ものなのですが、
小学生が骨折する場合は「手をつくこと」が骨折の原因になるケースがほとんどです。
小学生の骨折は、たいてい「手をついて」骨折します
我が子が昨日、骨折しました(笑)
そんな時、以下の3つの部分が痛かったらすぐに病院に行きましょう。
①手関節
手をつくことで、まず折れやすいのが「手関節」です。
仕事でレントゲンを撮影していますが、小学生の手関節骨折の頻度はかなり高いです。
場所は、手首よりも1cm~2cm程度下の辺りが骨折します。
レントゲン正面像(写真左)では分かりにくいですが、
側面像(写真右)だと分かりやすいですね。
左手首(写真左)と右手首(写真右)を比較すると、骨折が分かりやすい。
以上、娘の今回の骨折写真でした(泣)
利き手、左なのに・・・。
この部分は成人になると折れにくいのですが、高齢になると再び骨折の好発部分となります。
②肘
高いところから落ちるとよく折れるのが「肘」です。
鉄棒や組み体操など、落ちて骨折する小学生が多いです。
落下のような大きな衝撃が加わると、上の写真のように大幅にズレて「手術」が必要になります。
肘の骨折は特徴がありまして、
- 小学生の場合、肘関節よりも上の上腕骨の部分が折れやすい(上腕骨顆上骨折)
(矢印から左斜めに向かって骨折線があるのが分かりますか?)
(通常は、こんな感じです)
- 大人になると、肘関節よりも下の橈骨の部分が折れやすい(橈骨頭骨折)
(分かりにくいと思いますが矢印部分が折れています。1mmほどの骨折線が見えます。整形外科医も見逃すことが結構あります。)
(通常はこのように矢印部分に亀裂がありません。もし整形外科医が見逃している場合は、患者さん自ら指摘してみましょう。笑)
実は、肘の骨折は意外と分かりにくいのです。
その理由は「痛くて肘が伸ばせずにレントゲンが撮りにくい」からです。
普通に撮ることができれば、上腕骨顆上骨折の診断は難しいわけではありません。
ただ、痛みでじっとすることもできないし、動かすこともできないし、大泣きするので肘の撮影は難儀します。
そのため、下手なレントゲンの技師さんが撮影すると診断が困難になります。
分かりにくい場合は「上腕骨顆上骨折の不全骨折(写真上わかりにくいけど多分骨折)」としてギプス固定します。
そのため、「実は折れてなくて捻挫だった」っていう子もいます。
③鎖骨骨折
後ろに手をつくと折れやすいのが「鎖骨」です。
(こんな感じで結構真っ二つに折れます。)
(通常の鎖骨です)
意外に思われるかもしれませんが、尻もちをつく際に「手を後ろにつく」と折れます。
試しに、座った状態で手を後ろについて体重を掛けてみてください。
その際、鎖骨が動いているのがわかると思います。結構鎖骨に負荷がかかっているのです。
その負荷が瞬間的に大きく掛かると、前に向かって弓形に伸びる鎖骨が、真ん中付近でボキッと折れてしまうのです。
これからの季節、スケートやスキー、スノーボードなどで転んで手を後ろにつくケースが多くなります。
路面が凍って転倒するケースもあります。
そのため鎖骨骨折は、冬に顕著に多くなる骨折部位です。
昔は、鎖骨骨折すると金属のプレートで固定する手術が多かったのですが、
ここ最近は鎖骨骨折用のバンドを着用させて保存的に様子を見ていくのが主流です。
でも、どうしても服を着替えたりしないといけないのでしっかり固定するのは難しいのです。
そのためどうしても鎖骨がだいぶズレて骨がくっついていきます。
(先ほどの患者さん。骨折当初)
(鎖骨バンド着用数ヶ月後。くっついてきていますが、どうしてもズレはあります)
女の子は、大人になると「綺麗な鎖骨」に憧れると思うので、冬は骨折しないように気をつけて下さいね。
転ばぬ先の杖(転んだ後か?)。事前に買っておくと便利かも(笑)