私は20年くらい前に、広島に住んでいました。
とは言ってもダメ男だったので、住宅費を浮かすために彼女(現在の嫁さん)のアパートの1室を貸してもらい、自分は就職のために住所が必要だったので広島市で最も安い物件を探しました。
広島市中区で家賃18000円
昔と言っても、20年前。
その頃だって家賃が安かった訳ではありません。1Kで5万~6万はする時代です。
なのに18000円。広島市中区なのに。
住む訳ではなく、自分の住所があればいいので物件をほとんど見ずに即決。
「いい別荘になる」とダメ男な私は思いました。
The 鍵
大家に鍵をもらいに出向くと、すげぇ鍵を渡されました。
これ。
こんな漫画みたいな鍵、存在するんだなと。
脚色していません。まさにこれ。
で、早速アパートを見に行くと戦争跡地のような平屋の廃屋。
ここ、人住んでるんかな?と失礼ながら本気で思いました。
とりあえず、自分の部屋の前に行き、例の鍵で玄関を開けると、
いつの畳?という部屋でした。
流しはあるけど、ガス栓がない。
裸電球と、煤けた押入れ。
4.5畳っぽいけど部屋が斜めなのでよく分からない。
とにかく「暗い」
日も差してない。
何かが足りないと思ったら、「風呂・トイレ」が無い
もちろん、部屋の説明は不動産屋から聞いてました。風呂や室内トイレがないのは想定内。
でも、共同トイレを探しに外に出るも、無い。
大家に会いに行き、共同トイレを聞くと
「ありません。トイレは近くのコンビニに行ってくださいね」
と真顔で言われました。
ここのアパート、築60年程度(現在からだと築80年くらい)っぽく、
全てが建て増しのために、部屋の大きさや間取りなど全て違う。
他に3人ほど住んでいるらしいのだが、他の人は風呂トイレどうしているのかを尋ねると、
「他の部屋は、風呂トイレ付きか、トイレ付きです」
と言われました。
この部屋だけらしいのです。風呂トイレ無し。
前の住人が気になる
微妙に生活跡があるけど、全てが煤けて(すすけて)いるので、
失礼な言い方ですが、「ここで亡くなった感が半端ない」
前の住人はどんな方でしたか尋ねるも
「おばあさんでした」という返答のみ。
多くは語らない。
おばあさん、トイレどうしていたんだろう。
近くに銭湯もないし、どうしていたんだろう。
流しがあるよね。これですか?
別荘ができたという淡い感情が吹き飛びました。
謎の絵画
とりあえず、「ヒモな私」は住む場所はある(嫁さんアパート)ので、郵送される郵便物を取りに例のアパートに毎週通うことにしていました。
駐車場もないので、川沿いに路駐です。急がないといけません。
ささっと、据え付けてある玄関前の郵便ポストを確認し、郵便物を手に取り帰ろうとすると、
玄関前に「絵」が立てかけてある。
石膏像?を模写したような絵。
私の玄関中央に立てかけてある。30cm四方の絵。
まぁ放っておこうと思い、急いで車に乗って帰宅。
次の週も、郵便ポストを確認しに来ると玄関前にまた絵がある。
今度は違う絵。
毎週毎週、私の玄関前に違う絵がある。
怖すぎる。
数ヶ月後に大家から電話が入る①
「◯◯さん、ここに住んでないの?困るんだよねぇ住居として貸しているんだから」
という電話がきました。
確かに、借りているのに住んでいる気配がないというのは、大家さん的には気分が悪いであろう。
でも、「風呂・トイレ無し」の物件にどうやって住むというのだ?
数ヶ月後に大家から電話が入る②
「◯◯さん、電気使ってる形跡があるけど、電気代払ってくださいね」
という電話がきました。
住んでないし(汗)
怖すぎる。
電気は一部屋一部屋ごとに管理しているのではなく、どこか1箇所で把握して、それを各部屋どれだけ使ったかを計算しているようでした。
誰かが使っているのか、見えない誰かがいるのか?
1年で引き上げました
まぁ、特に大きな害はなかったので放って置いたのですが、諸事情で引き上げました。
現在はそのアパートは解体されて駐車場になってるっぽいですね。
あの絵が何を意味しているのかは結局わかりませんでしたが、あまり詮索しない方が良さそうです。
ちなみに、その当時コンビニが近くになかったんだよね。
やっぱり、あの流し場だったのかなぁ?